経営コラム
新型コロナウィルス出口戦略での廃棄物処理業経営1
新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い収束を心よりお祈り申し上げます。
前回までの収集運搬改善から、状況が日々変化をしていくなかで緊急対応も含めて、今後の廃棄物処理業経営においてのポイントをお伝えしていきます。
先ず、混乱が続いた4月も終わり、引き続き油断の取れない状況が続いております。AFTERコロナにて変化していくことも多分に想定できますが、先ずはWITHコロナ前提にて考えていかねばならないと思っております。つまり、「まだまだ先のことなどが見えない中で、どのようにしたら良いかは解らない?」ではなく、常に最悪の「まさか」を想定することが経営でもあることでもあるからです。
加えて、今すぐにすべきことは、短期と中長期とで分けて考えていかねばなりません。この状況が刻一刻と動くなかでは、少なくとも2か月程度の短期的な実施事項と、WITHコロナでの取組のふたつを同時進行で始めていくこととなっていきます。
【4月末現在】
先ず4月末時点にて全国のご支援先を踏まえた現状を整理していきます。
【産廃】
・産廃では、多くに直接的な大幅な業績影響は受けていない
・建設系では資材(トイレ、高力ボルト、フローリング)の工期遅れによっての影響はあるが、むしろこれから大手ゼネコンやデベロッパーでの全国的な現場停止、また着工数減少の影響がこれから始まる
・工場系でも業種によっての差は大きく出ており、これから影響の拡がる業種が想定される(機械、輸送機器、精密等)
・設備投資に加え、メンテナンスコスト予算の見直しにおいての受注減発生
・医療系においては、環境省と厚労省の見解違いによる混乱発生
【一廃】
・既に休業が始まった業種(宿泊、交通、飲食)が出始めており、更に3密該当や外出自粛によってのマイナスが想定され、価格対応要請が出始めている(回収停止による減額と月極見直し)
・インバウンド景気に該当した業種も上記同様のマイナス発生
・回収中止もあり、ルートの見直しが日々必要となっており、余剰人員が出始めている
古紙、鉄ともに資源相場も依然低迷が続き、現在の世界的な市況感からも当面の低位相場が想定される
上記の通り、まさしくインフラを支えることもあり、当業界への影響には時差があります。これはリーマンショックの際を思い出して頂ければ、直ぐに解ることでもあります。つまり業績影響はこれからでもあり、それは収束後ではなく6月頃には表面化していくこととなるのでしょう。つまり先ずは以下の通り、この2か月に自社が取り組むことを明確にしていき、準備及び取り組んで頂きたいと思います。
【今後2か月で想定されること】
【産廃】
・建設現場の停止拡大(エリア差あり)
・新築着工数減少
・業種限定の工場操業停止とライン移管
・処理量の減少によっての処理費高止まりと値下げ基調
⇒量の減少と売上減少
特に気になるのは、着工数の減少です。3年連続減少中で19年は90.5万戸でしたが、増税以降2月まで8か月連続で下がり続け、1,2月は6万戸代で推移しています。3月4月の新規受注が低迷していることは大筋で確認されており、このペースで進むとリーマン翌年の09年当時の74万戸を割ってしまう勢いです。つまり、それを充分に想定しての準備が必要とされます。
特に心理的な要素も大きく、高額品が軒並み減少されることとなり、家だけでなく自動車も減少をしていき、必要最小限の消費に連動した産業地図となっていくことでしょう。
産業廃棄物は当然に産業を通しての静脈である故に、その産業力低下は業界への影響も多分に発生していきます。過去の災害による復興系の経済対策ではなく、先ずは影響を受けた業種や人々への対策が最優先となります。正常な経済活動再開を望むことは当然ですが、暫くは低迷する自社の顧客層を把握し、その影響を何で補うかを明確にしなければなりません。
【一廃】
・全国的に休業対象業種を中心として数量減少
・一廃の月極価格値下げ
・閉店や閉鎖による減少
・新店出店のストップ
・ルート変更を重ね、ルート数減少
一般廃棄物は4月の傾向と大きく変わりませんが、それが更に拡大に繋がっていくことです。リーマン時にも個人消費を中心となることが多い為に早期の回復がありましたが、今回の明確な違いは休業が続出しており、その再開が見えていないことでしょう。生活必需品関連は変わりませんが、個人消費に明確な違いが生まれていき、贅沢品が購入されなくなっていきます。また多様化した趣味やレジャーの消費も、人々の巣篭り消費によって変容が生まれていきます。流行りのリモート飲み会、また高級店のデリバリー、またオンラインでの受講等サービスが受け入れられ、収束後にこれまで通りの消費とは違ったものにもなっていくことでしょう。
次回、そのようななかで、この2か月の取組についてをお伝えしていきます。