「廃棄物」は更に「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。法的には、事業活動によって生じた20種類の廃棄物を産業廃棄物(表4)として、それに該当しないものを一般廃棄物としております。
事業活動とは、製造業や建設業に限定されるものではなく、オフィス、商店等の商業活動や、水道事業、学校等の公共事業も含めた広義の概念となります。また、産業廃棄物には量的な規定がないので、個人事業主の事業規模が小さい者から排出される場合や、極めて微量な場合であっても、表4に該当するものは産業廃棄物になります。つまり、「事業活動を伴わない産業廃棄物はない」ということになります。
表4. 産業廃棄物の分類
燃え殻 |
焼却残灰、石炭火力発電所などから発生する石炭がらなど |
汚泥 |
工場廃水処理や物の製造工程などから排出される泥状のもの |
廃油 |
かつ順油、洗浄用油などの不要になったもの |
廃酸 |
酸性の廃液 |
廃アルカリ |
アルカリ性の廃液 |
廃プラスチック類 |
合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくずなどの合成高分子系化合物 |
紙くず |
製紙造業、製本業などの特定業種、および工作物の新築、改築(増築を含む)または除去に伴って排出されるもの |
木くず |
木材製造業などの特定業種、および工作物の新築、改築(増築を含む)または除去に伴って排出されるもの |
繊維くず |
繊維工場、および工作物の新築、改築(増築を含む)または除去に伴って排出されるもの |
動物性残さ |
食品製造業などの特定の業種から排出されるもの |
ゴムくず |
天然ゴムくず |
金属くず |
鉄、銅等の金属くず |
ガラス及び陶磁器くず |
ガラスくず、耐火れんがくず、陶磁器くずなど |
鉱さい |
製鉄所の炉の残さいなど |
がれき類 |
工作物の除去に伴って生じたコンクリートの破片など |
動物のふん尿 |
畜産農業から排出されるもの |
動物の死体 |
畜産農業から排出されるもの |
ばいじん類 |
工場の排ガスを処理して得られるばいじん |
上記の18種類の産業廃棄物を
処分するために処理したもの |
コンクリート固形化物など |
その他 |
前述した廃棄物、航行廃棄物、携帯廃棄物を除く輸入された廃棄物 |
一般廃棄物の区分
「一般廃棄物」はその症状により、ごみ、粗大ごみ、ふん尿(し尿、浄化槽汚泥を含む)に区分され、また法的に定められた言葉ではありませんが、排出者により「生活系一般廃棄物(家庭生活から出た廃棄物)」と「事業系一般廃棄物」に分けられます。 |
産業廃棄物の区分
事業活動にともなって生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油などはどのような業種から出されても産業廃棄物となりますが、紙くず、木くず、繊維くずや動物の死体などは特定の業種から排出された場合しか産業廃棄物になりません。例えば紙くずは製紙会社などの紙製品製造業から排出されたものは産業廃棄物ですが、商店などから排出されるものは一般廃棄物になります。これを産業廃棄物の指定業種と呼びます(表5)。
つまり事業活動から出ても産業廃棄物に該当しないものは一般廃棄物となり、これを「事業系一般廃棄物」と呼びます。ここでの考え方は、環境汚染上の問題が少なく、一般的に見て市町村でも対処可能な廃棄物となります。 |
表5. 産業廃棄物の指定業種
廃棄物の種類
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排出元など
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紙くず |
・建設業(工作物の新築、改築、除去に伴うもののみ)
・パルプ、紙または紙加工品の製造業
・新聞業(新聞巻き取り紙を使用して印刷を行うもののみ)
・出版業(印刷出版を行うもののみ)
・製本業
・印刷物加工業 |
木くず |
・建設業(工作物の新築、改築、除去に伴うもののみ)
・パルプ、紙または紙加工品の製造業
・パルプ製造業
・輸入木材の卸売業 |
繊維くず |
・建設業(工作物の新築、改築、除去に伴うもののみ)
・繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く) |
動物または植物の固形状の不要物 (動植物性残さ) |
・食料品製造業
・医薬品製造業
・香料製造業
※原料として使用した固形状のもののみ |
動物系固形不要物 |
・と畜場でとさつ・解体の獣蓄、食鳥処理場の食鳥処理のもの |
動物のふん尿・動物の死体 |
・畜産農業 |
ばいじん |
・大気汚染防止法の第二条二項で規定されているばい煙発生施設およびダイオキシン類特別措置法(Dx法)の特定施設からの集じん施設
・産業廃棄物の焼却施設(燃え殻、汚泥、廃油、廃産、廃アルカリ、廃プラスチック類)の集じん施設 |
※注)紙くず、木くず、繊維くずでポリ塩化ビフェニル(PCB)に汚染されたものは、業種に限定されず産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)となる