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2020.10.27 配信

■□産廃web最新NEWS!!□■2020年10月20日

 

コンサルタントコラム 「新型コロナウィルス出口戦略での廃棄物処理業経営5」

 

船井総研の貴船です。コロナ禍を通して、設備産業である当メルマガをお読み頂いている産廃業の皆様の会社では

・対策の為の借入を増加させる。
・売上に影響を受けたり、対策費のための支出を行い、利益が減少する。
・状況によっては営業を停止させる。
 
等のことにより自己資本比率が低下した先も少なからずあったことと思います。

 
この自己資本比率は企業が格付という表を受ける上で非常に重要な指標であり、この自己資本比率がマイナス(債務超過)になっていると、新たに資金を調達できる可能性が低くなります。
今回はコロナ禍を受けて、今後も事業の成長や設備の更新・維持に一定の資金が必要不可欠な、産廃業の皆様が知っておくべき、内容について解説を進めさせていただきます。
 
少し時間軸をさかのぼりますが、2020年5月21日自由民主党より「令和2年度第2次補正予算の編成に向けた提言」が政府に提出され、同年5月27日、国会に補正予算案が提出、その後6月10日補正予算案が衆院通過、6月12日に参院可決により成立しました。
 
この補正予算案の中に「資本性資⾦供給・資本増強⽀援」と呼ばれる項目が含まれていることにお気づきになった方はどれだけいらっしゃるでしょうか.
これまで政府系金融機関である日本政策融公庫では、平成28年度で767先、平成29年度で760先、平成30年度666先と、年間約700社がその資金によって貸出を行ってきました。年間で450~550億円ほど資金が動いていました。
 
これが今回の新型コロナウイルス対策として可決された2回にわたる補正予算によって「資本性資⾦供給・資本増強⽀援(中⼩・⼩規模事業者向け)」は、1兆2,442億円の予算がが計上されています。すべての資金が資本性ローンに流れるわけではないでしょうが、確実にこの資金が今後トレンドになり得ることと感じています。
 
では、この資本性資金について解説を進めていきたいと思います。自民党からの提言に書いてある文言が分かりやすくなっている為、これを引用しながらご説明をしていきたいと思います。

【5】資本性資金の供給

 

(1)既存の資本性支援等の大幅拡充と新たな取り組みの検討

既存の資金繰り支援策のすみやかな執行がまずは求められるが、この先、流動性だけではなく、 収益の急激な悪化を伴う財務の健全性の問題が顕在化する可能性も想定しなければならない。
このため、本来であれば日本経済にとって重要な企業、地域経済にとって重要な企業等に対し、交付国債等を活用し、数十兆円の枠を確保し、劣後債、劣後ローン、優先株等を供給する新たな制度を構築しなければならない。
ただ、新たな制度を創るためには新たな立法も必要であり、それなりの時間が必要なことも事実である。政府としては上記の新たな精度の検討作業を早急に進めるとともに、大きな法改正が必要でない既存制度を活用し、当面、市場に安心感をもたらすとともに、大企業から、中堅・中小企業までまんべんなく対応出来るよう、 資本性資金を含め、少なくとも10兆円を超える規模の資金枠を追加で確保すること。
 
 

上記の形で、提言が為されていますが、ここで特筆するべきことは、多くの企業が一時的な収益の悪化によって、財務の健全性、所謂、自己資本比率を始めとする財務的な安全性が危ぶまれる可能性に対応する動きが取られているという事です。
日本の資金調達の在り方は、元来銀行からの借入に依存してきたという歴史的背景があります。
麻生太郎氏が首相だったころに
 

「会社を始めるとき、友達に金を借りて始めるのが日本やドイツ。友人に投資してもらい、株主になってもらってスタートするのがアメリカやイギリス。資金が他人のものであるのは同じです。借金だったら、信用さえあれば金利を払っておけばよいが、株主なら配当しなければなりません。配当するためには、会社を黒字にしなければなりません。しかし、借金の金利を払うのなら赤字でも可能です。だから日本はバブルの時代でも法人企業の約5割は赤字だったんです。そして日本では税理士が発達し、アメリカでは会計士が発達するんです。」

 
と言う内容を発信していました。これが端的に日本の企業の財務体質の在り方を示しています。日本の企業は、法人税等の税金を支払わない為の動きを取る為当期純利益の蓄積が非常に少ない為、今回のような非常事態が発生した時に、事業規模に対しての過去の利益蓄積(内部留保)が低いのです。その為企業の経営や財務基盤の安定の為、当該施策が発行されたのだと考えられます。
 
とくに今回の新型コロナウイルスの影響でそういった内部留保の少ない状況の企業は、B/Sが傷むと、一気に財務指標が悪化し資本強化が喫緊の課題となります。そこに政府や金融機関による資本強化の支援策として資本性ローンは有効な手段となります。独自で資本性ローンのような商品の取り扱いを始めている金融機関が増えてきていることもこの事実を表していると言えるでしょう。この資本性ローンについての理解は今後の資金繰り対策・財務対策として、おさえるべき内容です。
 
さて、今回の第二次補正予算案における資本性資金の施策についてのお話をしていきましたが、具体的に資本性資金とは?という部分について解説をしていきたいと思います。
 
資本性資金についてご存知の方は、あまり多くないのではないかと思います。「資本性ローン(以降は資本性ローンと呼称します)」や「劣後ローン」、「劣後債」、「メザニン」と呼ばれる借入金です。他の借入と比較して債権の回収順位が「劣後」するということが一番の特徴です。この回収順位が劣後することから、資本性ローンは借入というよりは資本的な性格を持っていると言えます。メザニン(英語で「中二階」の意)と言われる所以はこの通常の借入金と、資本の中間にあることにあるのでしょう。
まとめると、万が一貸出先の企業が倒産して、借入金の回収を行わなくなった際には、他の借入の補填を優先するものということで、よりリスクが高い融資というものがこの「資本性ローン」ということになります。
 
 
ここまでのお伝えした内容であれば、あまりメリットを感じにくかったかと思いますので、ここから借り手サイドからのメリットとデメリットをお伝えしていきます。
まず大きなメリットはこの3点です。
 
(1)銀行の査定上、借入ではなく純資産とみなす事が可能な為、 格付が向上して調達環境が改善すること。(2) 期日一括での返済を選択出来る為、長期資金を得ることが可能になること。(3) 無担保無保証人での借入ができること。
 
一方でデメリットとしては、下記があります。 (1)業績連動型の金利体系をしており、最大6%近くの金利支払いが発生する。(2)繰上返済は不可能。(3)経営成績の報告が必要ということです。
 
このメリットデメリットは、「資本性」という言葉の通り、出資的な意味合いの借入となる為、貸し手のリスクが高くなる為、調達コスト(金利)が高くなってしまうという意味合いと捉えるのが適切かと思います。それらの適切な理解を踏まえると、財務戦略として資本性ローンを「使う」ことは経営の大きな転換点になりえると考えます。例えば成長企業であれば、この資本性ローンの金利を資金調達コストと割り切って実行している先も事例として出てきています。
 
詳しい、メリットデメリットについての解説は、当サイト、「資本性ローンを用いて成長戦略を描く!(2) ~メリット・デメリットを整理して有効活用を考える~」という記事が詳しいので是非こちらも合わせて御覧になって下さい。
https://www.funai-finance.com/topics/190627
 
今回は補正予算可決された内容を見て少し驚きました。経済産業省に掲載されている「経済産業省関係 令和2年度第2次補正予算 (概要)」という文書内に次のような形で掲載がされています。
 
「⾦融機関が⾃⼰資本とみなすことができる資本性劣後ローンを供給することで、⺠間⾦融機関からの⾦融⽀援を促し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の成⻑・再⽣やスタートアップ企業の資⾦繰りを⽀援。」
主な貸付条件については、⽇本公庫中⼩、商⼯中⾦の例として、貸付限度額は最⼤7.2億円(別枠)。貸付期間は5年1ヶ⽉、10年、20年(期限⼀括償還)から選択が可能。貸付⾦利は当初3年間⼀律0.5%となり、4年⽬以降直近決算の業績が⾚字の場合0.5%、⿊字の場合は2.6%⼜は2.95% となっています。」
 
最も注目すべき内容は、当初3年間、 本来業績連動型の資本性ローンの金利が、0.5%となっていることです。これは、正直より資金が必要となる全国の成長中の企業にとって非常に有力な手段として使える物ではないかと感じています。特に成長企業であればその自己資本の薄さから、「その成長力に対して、資金調達が追いつかない。」というケースが往々にして良くあります。そのような企業様に対して資本性ローンは成長原資となりうるものでしたが、これがさらに使いやすい物となったように感じます。
 
『地域企業の真の経営課題を的確に把握し、その解決に資する方策の策定及び実行に必要なアドバイスや 資金使途に応じた適切なファイナンス(短期継続融資、 メザニン等の資本性資金、公的金融との協調等を含む)の提供、必要に応じた経営人材等の確保といった支援を組織的・継続的に実践し、地域企業の適切な競争環境の実現に取り組むことが、ひいては自身の持続可能なビジネスモデルの構築につながる地域金融機関は多いと考えられる。』
 
金融庁が公表している平成29事務年度金融行政方針の文章に上記のような文言がありますが、まさに資本性資金「資本性ローン」は地域企業の経営課題に対しての「財務」による解決策、支援策になりうると考えられます。
 
もし、現状で更なる成長の為の資金調達を含めた財務戦略の考案を考えていらっしゃるのでしたら、「今」が好機かもしれません。より早く、より安全な成長戦略を描く為に一度この資本性ローンを検討してはいかがでしょうか。弊社では資本性ローンを始めとした財務戦略の検討、見直しを複数クライアントで進めています。
 
また、こういった金融時流や、出資性の資金である「資本性ローン」について概要・事例・融資実行の事例を織り交ぜて今後取るべき「財務戦略」の考え方をお伝えするWEBセミナーを開催致します。
 
どんなメリットデメリットがあるのか?その具体的な進め方は何か?進める際の事業計画の立て方は?ということを中心にご理解を進めるためのセミナーです。一部金融機関では、既に個別の商品展開も始まっています。ぜひふるってご参加ください。

 

資本性ローン活用による成長戦略の描き方
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065113
※また、セミナー参加特典として、調達を進める際の個別相談も実施させて頂きます。
 
【開催日時】
WEB開催 2020年11月5日(木)10:00~12:00
WEB開催 2020年12月1日(火)10:00~12:00

【申し込み締切】
開催日3日前までにお申し込みください。
 
参加をご希望の際は、下記よりお申し込み下さい。
WEB申込: https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065113
 
その他質問事項がありましたら、ご遠慮なくご質問ください

 

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