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経営コラム

2020.09.09 配信

新型コロナウィルス出口戦略での廃棄物処理業経営5

前回から続く廃棄物処理業の出口戦略の第五弾で、中長期取組の④顧客数増についてです。

 

不況期に入れば、既存顧客だけでは当然に各社のパイが減ることで、絶対量が減るとともに売上も収益も減少していきます。シンプルに顧客を増やすか、1社からの客単価を上げることしか売上は増えません。しかし不況期では、各社が売込を掛けることで市場内の価格の下落が続き、各社収益性が落ちていきます。
それ故に、単純な顧客増ではなく、戦略的な顧客増を仕掛けていかねばならなくなります。
それは「肉を切らせて骨を切る」のように、不採算顧客を減らして高採算顧客を増やさなければなります。頭では皆様解っていても難しいことです。一方で、贅肉だらけで全力疾走する事は難しいもので、傷口(赤字)があるのに走ろうとするものにもなってしまいます。 

 

昨年一昨年は、収集運搬の見直しに取り組む企業が多かったように思います。ドライバー人材の採用難からも、運搬の効率化は不可避として、ルート見直し及びエリア外顧客の整理(譲渡)も進んできました。今後、更に一歩進んだ採算見直し局面に入ったといって良いでしょう。

 

本当に、自社の得意な仕事、不得意な仕事を見つめ直して欲しいと思います。社内でそれを投げかけると、様々な答が出るかもしれません。しかし得手不得手は感覚値によるものではありません。また結果だけで考えるものでもありません。例えば、一番多い顧客が建設系で建廃となってしまうのは間違いで、収益性の高さ、競合との優位性、自社内での経営影響度も鑑みてみなければなりません。収益が低ければ、また商圏内競合との差別化ができていなければ当然不得手となり、そして幾ら利益率が高く競合がいないとなっても、自社内での収益での貢献額が無ければやはり不得手となってしまいます。

 

これに市場動向とシェアが掛け合わせていけば、本当の得手不得手が見えてくる筈です。この得手な顧客を増やし、不得手な顧客を減らしていかねばならないのですが、戦略的に如何に進めていくのか講じる必要があります。市場動向を掛けている為に需要がありますので、後はアプローチだけとなるのですが、得手ならば簡単に進む筈です。しかし、もしそうならない場合、それは得手ではなかったことになります。改めて見直すこととなるのですが、ここで多く発生することは、得手なものが何も無かったとなる時なのでしょう。 

 

私がご支援先の営業会議に参加していても、営業マンの胸にはこの課題に多くぶつかってしまうことがあるものです。「ウチは何も強いものが無いのですよね」「結局価格勝負になってしまいます」と思考停止状態に陥ってしまうのです。では、今まで自社はどのように顧客が増えてきたのでしょうか。何故、利益が出てきたのでしょうか?勿論、過去の歴史には様々な要因があり、属人的要素やラッキーパンチ等の不確実性要素も多くあったかもしれません。しかしそれも事実であり、ひょっとしたら強みがあったのではないでしょうか。

 

その不確実性要素を再現性に組み替えることが必要となります。例えば、スーパー営業マンが収益の高い仕事を獲得し続けてきたのならば、スーパー営業マンでなくても普通の営業マンでも獲得可能な戦術と戦闘を構築していけば良いでしょう。ラッキーパンチが多数ならば、その蜘蛛の巣を会社として、如何に拡げ吸い上げることが出来るか考えていけば良いでしょう。当たり前のことですが、楽して簡単になどの営業活動は存在しておりません。但し間違いないことは、組織として活動していき、顧客増に取り組むことなのでしょう。 

 

需要と供給のバランスが、導入期は需要増供給減であったものから転換点を迎え逆転すると、そこに差別化要素は生み出し難くなって当然でもあります。そうなると単なる、営業強化の旗印で頑張るだけでは、無駄ではありませんが成果が出るまでに時間も労力も多く掛かってしまいます。だからこそ、戦略的に組織的に動いていかねばなりません。
先ずは徹底的に顧客数増だけに絞り込み、顧客数を目標設定して欲しいと思います。ただ前述の通り、不採算顧客を増やしても仕方なく、当然自社が設定する与信ラインも崩す必要はないでしょう。顧客数を増やす所謂「一点突破」な切り口を社内で考え、つくり、その武器を持ってアプローチして欲しいと思います。その際に当然最終的な本丸は採算性の良い受注ですが、それはお付き合いが始まってからです。その商品(サービス)が廃棄物から外れていても構いません。これからも成長していく顧客とお付き合いする為に、その方達が欲しい課題を解決してあげましょう。

 

2020年9月現在、業界内では地域格差はあるものの、大きく業績を落としている廃棄物処理業も少ないように感じます。ただ、皆様の顧客が来年以降の不安を抱えている通り、その準備はスピードアップしていかねばなりません。
顧客を増やすこと、しっかりと戦略に盛り込んで欲しいと思います。

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