経営コラム
新型コロナウィルス出口戦略での廃棄物処理業経営2
前回から続く、廃棄物処理業の新型コロナウィルス出口戦略の第二弾となります。
先ず直近2か月についてです。この2か月はWITHコロナでの対応時期でもあります。以前の日常とは違う社会生活において、経済活動を戻していかねばなりません。リスク最小限に復旧ではなく復興、つまり以前よりも良くなることを最短で目指したいと思います。
①社会インフラを担う業でもあり、止めない為の最善対策の継続
②短期的な採算見直し(不採算・非効率)
③社員離脱防止
④短期的な利益獲得
⑤DXの加速
①「社会インフラを担う業でもあり、止めない為の最善対策の継続」について、先ずは業として社会インフラを担う重要な役割であること、その責任において事業継続できることを最優先で考えねばなりません。既にこの数か月、各社ともに様々に取り組んでおられましたが、労働集約型故にテレワークが出来るわけでもなく、感染リスク低減には難しかったものでした。現場でのコロナ対策では、物流業から多く学ぶべき取組があると思っています。現場、つまりインフラを止めない為に各社がルール設定を行っており、徹底に努めています。ガイドラインを見ると、勿論皆様の企業でも実施していることで当たり前とも思えるかもしれません。しかし見習うべきことは、徹底への意識付けではないでしょうか。ルールを決めることは出来ますが、それが守られなければルールの意味はなしません。プロ意識の植え付けでは本当に見習いたい部分は多いものです。そして個々の利便性に囚われず、止めないことを最優先にて取り組まれている事例が見られます。出来ていないことを見つけるのではなく、良いものを見つけ、良い面を学び、取り入れていきましょう。
②「短期的な採算見直し(不採算・非効率)」
前述の通り、休業や需要減少等顧客の状況によっては、これまでの業務では非効率や不採算が生まれやすくなっていきます。絶対量が減少する数か月を想定しても、止血は急ぐ必要があります。ここで敢えて短期的に限定しているのは、中長期の採算見直しとは別視点にもなるからです。今やるべきことは残念ながら暫定対策でもあり、それを可能な限りスピードを上げて取り組まねばなりません。採算の見直しには、顧客側の問題もあれば、受注時や歴史が生み出していること、そして
人的課題にて陥っていることもあります。しかし最も残念なことは、誰もが不採算や非効率であることに気付かない時なのでしょう。原価の実態も不明であれば、採算性を判断することなどできません。それがジョハリの窓的な状況から、表面化する、その時が無ければ問題にも上がりません。先ずこの先を迎えるにあたり、筋肉質な中身を構成する為にも、早急な採算見直しは優先度が高いことです。先ず短期的に、影響度の高い順から見直しに着手して欲しいと思います。
③社員離脱防止
人手不足時代から急激に舵が切られてしまいました。4月の有効求人倍率1.17倍は人手不足解消が見えており、そして現場では募集への反応人数にも変化が出ています。先行きの不透明さは採用抑制にも向かい始めており、ようやく業界でも人が採れる時代になり始めています。そして一方、短期的な人に関する取組としては、離脱防止を進めて欲しいと思います。先行き不透明な時、人は安定志向に向かいます。大手企業の離職者は減るのですが、中小且つ業績低迷業種となると不安感は増していき、それが離職の導火線にも繋がっていくものです。社員は将来が見えないと退職に向かってしまうものです。それ故に業績を上げることは絶対ではありますが、多くの産業低迷期となった数か月においては、それも感じ難いこととなるでしょう。短期的には、1対1の面談時間、所謂1on1 MEETINGの時間を全員に頻度も上げて設けて欲しいと思います。そのなかで早期に不安を取り除くこと、そして将来においての役割や必要性をしっかりと伝えて欲しいと思います。
④短期的な利益獲得
これまで取り組んできたマーケティングを止めるわけではありません。勿論、時流が変わったことによる営業戦略の再構築も不可欠ではあります。しかしもし売上や利益が減少したからと言って、この状況ならば仕方ないでは当然良いわけありません。ここでの短期的な利益確保とは、減ったものは当然に埋めるべきという自然な発想です。ところで最近、ご支援先の営業現場で声、新規開拓ができないの声が多く上がっています。飛込訪問をすると、このような時に非常識だと、また社内に入れてくれないことも多く発生しています。リモート営業も拡がり始めていますが、一方で勘違いされていることも多く見られています。営業のデジタル化が全体像であり、リモート営業はその手段の一部でしかありません。短期的な利益には当然②で述べた採算見直しは当然ながら、顧客のいま困っているものが提案できるかです。変化をしている時だからこそ、新たなニーズも生まれてくる時にもなっていくでしょう。例えば前回お伝えした、サプライチェーンの再構築が真っ最中である製造業では、これまでに無かったニーズが生まれています。サプライチェーンの変化にて、工場やラインの移転も始まれば、そこで困っていることを自社特有のサービスで解決できるか等を考えることからです。必死でまわって売上つくれと営業部長が尻を叩いても、そこから状況の大きな変化は少ないでしょう。営業とは課題解決です。自分ができるものを並べれば売れるわけではなく、また困っていないものを必死で提案しても提案営業にはなっていきません。
⑤DXの加速
デジタルトランスフォーメーションが昨年は多くクローズアップされましたが、その進行レベルが現在企業の明暗を分けているとも言えるでしょう。多くの経営者が重要性を理解しながらも、緊急性を落としてしまいがちでした。しかしAFTERコロナにおいて、デジタルが加速したことは間違いないでしょう。つまり進んでいた企業は更に進み、昨年からの動きから遅れた企業にとって、その差が更に大きくなっております。いま一度、意識的なスピードアップを進めて欲しいと思います。ただ、間違ってはいけないことは、デジタル化をピンで捉えないことです。先にあげたリモート営業のように、そこだけ取組むことはデジタル化ではありません。そして外向けと内向けの2種のデジタル化があり、現在解決したい生産性や収益性の課題などを解決できるツールを探して欲しいと思います。先ずツールありきではなく、課題解決方法のひとつがデジタルであるように。
次回は、中長期的な取組についてお伝えしていきます。