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産業廃棄物の知識

排出元の為の廃棄物管理

廃棄物による企業リスク

1. 排出元の廃棄物管理

排出元の廃棄物に対する責任割合が増しております。

廃棄物処理やリサイクルを委託する場合は、必ず廃棄物処理法による許可を受けた廃棄物処理業者に、法の定める基準に従って委託することが必要です。無許可業者への委託が法律違反であることは言うまでもなく、処理・リサイクル業者の不適切な選定・契約によっても、不適正処理や不法投棄事件に巻き込まれ、法律違反に問われる可能性があります。

廃棄物処理法をはじめとする関連法制度の違反による罰則の適用や社名公表は、企業イメージの低下等からも企業経営に影響を及ぼす可能性があり、排出事業者としては未然防止の為に廃棄物処理業の選定と管理を重視していき、一方で万が一の場合速やかな対応を取ることができるよう、危機管理体制を構築しておくことが重要です。

企業のこれからの取組として、廃棄物問題は担当者だけの課題として捉えず、経営上の課題として考え、経営側から推進して体制構築が必要とされております。

2. 廃棄物処理法の違反による排出事業者への影響

1、罰則
廃棄物処理法の違反に対して懲役や罰金等の罰則が科せられます。特に、両罰規定により、法違反の実行者が従業員であっても、法人に対して罰則が科せられることになるため、従業員に対し法令遵守の重要性を日常的に喚起しておくことが重要です。

2、企業経営に与える影響
排出事業者が処理・リサイクル業者の不適切な選定・契約を行い、当該廃棄物等が不適正処理・不法投棄された場合には、廃棄物処理法により排出事業者に対して支障除去等の措置命令が出され、社名等が公表される場合があります。こうした場合、単に費用面での問題だけではなく、社名等の公表による企業ブランドイメージの低下が考えられ、企業経営にも影響を与えることが懸念されます。

3、公表事例
平成11 年に発覚した青森・岩手県境の大規模不法投棄事案(第三編参照)では、排出事業者の実名公表がされ、新聞報道される事態に至りました。また、自治体によっては、廃棄物処理法に関するこれまでの行政処分の履歴を公表している自治体もあります。

3. 現在の排出事業者が置かれている状況

1、法の強化
平成12 年改正においては、排出事業者が産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合に、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの一連の行程における適正な処理を確保するための注意義務を課し、マニフェストにより最終処分までの一貫した把握・管理を義務づけるなど排出事業者責任の強化を行っております。

2、行政
都道府県に対しては、「行政処分の指針について」を通知し、法に基づく厳格な行政処分を求めており、これにより、都道府県では、積極的な措置命令の発出などが行われるようになってきており、その一つとして個々の不法投棄事案においても注意義務を怠った排出事業者責任の追及がなされ始めています。

3、排出事業者
まだまだ多くの排出事業者には法の趣旨や内容を十分に理解していない企業が見られます。それは、業界の元請下請構造などから、上位企業が立場の弱い下位企業に産業廃棄物の処理を任せきって自らフォローしないケースなど、依然として旧来の不適正処理の構造が払拭されていない状況も見られます。

4、廃棄物処理業者の選び方
排出事業者としては安全と安心を求め、優良(悪質)な処理業者に関する情報の整備・提供を求める声が強くなっており、これを受けて処理業者の格付け手法についての検討が行われています。このひとつとして、環境省でも優良児業者評価制度(第三篇1章参照)も展開を行ない、第一歩を踏み出しております。

4. 想定される必要方向性

1、違法者への強制と公表
罰則型となることは残念なことですが、以下の措置も視野に入れることも必要になると思われます。
・排出事業者への立入調査と速やかな行政処分
・措置命令の対象者については、不法投棄行為者だけではなく、排出事業者等の氏名も積極的に公表をしていく
・排出事業者等の氏名公表(行政処分の事実公表)

2、監視システムの強化
電子マニフェストの普及とともに、収集運搬車輌の監視システム(トレーサビリティ)の導入についても、排出元への積極的導入を進める手段。

3、情報面
・適正処理ガイドライン
・廃棄物処理業者、収集運搬業者に対して啓発も行い、そこから排出元への周知を進めていくこと
・現在進めている優良児業者評価制度に加え、その申請内容の審査や確認、そしてそれを実施する格付け機関の設置なども必要になってくることでしょう 。

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