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経営コラム

2022.08.25 配信

特別編「廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会8月例会振り返りレポート」

今回は8月開催の、廃棄物・資源・浄化槽ビジネス研究会の振り返りレポートをお届け致します。
当日の講座のなかで、廃棄物・資源・浄化槽業の新規事業について、抜粋してレポートさせて頂きます。

 業種の市場において既に決定していることとして、人口減少とエリア集中、既存産業のゲームチェンジ、あらゆる市場の縮小による廃棄物市場の減少、カーボンニュートラル化における廃棄物の在り方等があります。つまり、業種としては①市場の中でのポジショニング②10年後以降の種を撒き、育てることが必要となっているのです。
 新規事業が必要なことは多くの方が理解していることではありますが、その際の事業ドメインは課題となることと思われます。
 
1.事業ドメイン
(1)事業ドメインとは
・自社が経済活動をする際での事業領域・市場
・間違いやすいドメイン
「廃棄物屋(産廃屋、一廃屋、ごみ屋)」「資源屋(古紙屋、スクラップ屋、屑屋)」「浄化槽屋」は主業ではあるがドメインではない
・広すぎず、狭すぎず、長所伸展可能か
・例えば「廃棄物」とした場合に、拡がりの可能性
・運搬から最終まで、建設から工場から公共、一般家庭まで
・これらを付加していくことを追求して、企業の成長が可能か?
・そもそも、自社が持つ経営資源が活かせるのか?
・経営理念と企業ドメインと混合しないこと
 
(2)事業ドメイン分析
CTMフレームワーク(Customer (顧客)」「Technology (技術)」「Function(機能))では
市場と顧客) 市場と顧客層を細分化して、自社のサービスの価値が最も発揮できるターゲットを明確化
技術・ノウハウ) 自社が持つ技術やノウハウ、無形の価値(例えば許認可)が競合他社と差別化可能なもの
機能)      どのような役割を担い、何を提供するのか?
 
これをベースに考えていきます
フレームへの当てはめ方の間違い1
市場と顧客) 県内の住・建設業から出る産廃全般
技術・ノウハウ) 中間処理の受入品目
機能)     収集・中間処理からリサイクルまで一貫して提供
⇒ドメインは結局何か?
⇒事業が拡大可能か?
⇒差別化できているのか?
 
フレームへの当てはめ方の間違い2
(焼却施設)
市場と顧客) 県内及び隣接30KM内において、住建設は勿論ながら、大手製造業を中心として困っている処理を対応
技術・ノウハウ) 県内での需給バランスにおいて、県外流出が多い、廃油、廃酸、廃アルカリ、特に特管物に対応可能
機能)     清掃業務迄請け負うこと、また近距離への運搬と発電機能にて脱炭素化を目指したい企業への訴求
⇒ドメインが手法となっている
⇒ビジネスチャンスとしての視点は良いが、自社での長所に欠けている
⇒新規事業としての取り組む際でならば、夫々のフレームを達成させるべき方策
 が明確でなければ、事業化への課題解決が見えない
 
フレームへの当てはめ方例
(県内建設産業の環境保全を支える)
市場と顧客) 県内建設・土木の大手から中堅までの環境意識が高い企業
技術・ノウハウ) 建設・土木から発生する全ての品目について受入可能、リサイクル率も現状よりも上げられる
機能) 解体、地盤改良、土工事、建材、産廃(収集・中間)、資源買取まで一気通貫対応
⇒悪くは無いが、選択と集中面のなかで分散によるリスクと投資効果が不明
⇒今後ドメイン内にて、新規事業を設定時に発展性に疑問
⇒市場における課題が念頭にあるか?時流を前提にしているか?
 
CTMフレームからの課題整理
・自社の出来ること、業務範囲に固執してしまうと思考が止まる
・社内で議論をしようとしても温度の違いがあり(儲かれば良い、やってみなければ解らない、内部視点のみもしくは視界が狭い、マーケ発想が無い、個人願望、他人事等)
・既存事業の単なる言い換えは何も生み出さない
・ドメインが手法になってはならない
・時流としてビジネスチャンスの視点は必要だが、自社の長所活用が不可欠
・差別化視点は一般的ではなく、比較対象と明確であること
・フレームが願望で終わらず、障壁の整理と解決できる道筋が必要
・分散することでの非効率さとリスクが解決できているか
・事業としての発展性(市場)があるか
・市場での課題をフラットに捉え、自社での解決が見極められているか
 
2.顧客での視点
(1)既存顧客
①既存顧客からの客単価アップ
・売上の方程式となる、客数X客単価では有効
・既存顧客だけで、どこまで拡大可能か
・既に市場で対応している競合との差別化要素があるか
・廃棄物処理業の場合は、つい品目追加となるが、それは現在も他社が請け負っている為に、価格勝負もしくは同等レベルとなり、以降も価格に踊らされる
・再生資源業でも同様に、廃棄物獲得を目指す際には既にレッドオーシャン化されていることが多く、発展性に限界がある
・当然ながら、真に現在顧客が困っているものでなければならず、需要充足のものには取り組まない
・客単価アップ視点の際は、自社にとって事業検討がしやすく、参入障壁が低いものは(一般的な高低ではなく)、収益性と発展性に欠けることが多い
・既存客数が少ない際は、先ず客数アップを優先すべき
・既存客に同業者比率が高い、小規模事業者が多い場合も客数アップから
 
(2)新規顧客
①既存顧客と同業種を増やす手段(客数アップ)
・既にレッドオーシャン化している市場において、価格以外の武器として新規開拓する武器として事業展開
・所謂一転突破的視点において、事業を展開することも有効。特に転換点を超えている廃棄物・再生資源業では積極的に取り組んでいきたい視点である
・事業検討の際に自社経営資源を有効化できることは重要であるが、一転突破の視点では検討事業領域に限界が出てしまう為に、市場成長性を優先して、それに自社を近付けることに取り組むこと
②顧客獲得の為に、その上流からのアプローチ
・所謂、「顧客の先の顧客」ゾーンへの参入。現在事業の顧客が望むものを自社が獲得して、顧客へ展開する視点。過去に取り組んだ、解体工事受注から解体業へ発注も同様。新築ハウスメーカー顧客ならば、土地情報等土地オーナー顧客獲得の商品やサービスづくりとなる
・参入難易度も上がり、現状保有の企業資産を活用できるケースは少なくなるが、既存顧客の維持と新規顧客獲得の際には有効な手段となる
・既にライフサイクル上での成熟、衰退、安定期へと突入している事業は避けるべきであり、まだ参入企業が少なく、今後のニーズ拡大が見込まれる事業でなければならない
 
この後に、「技術」「ノウハウ」の視点、また「機能」の視点における「役割」「商品・サービス」、そして各社の事例からレポートとともに、学んで頂いております。リアルだからこその温度感と情報、そして各社の生の声、これも研究会のメリットと思っております。現在も新規会員を募集しておりますので、ご興味のある方は是非お申しつけください。

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