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経営コラム

2020.07.03 配信

新型コロナウィルス出口戦略での廃棄物処理業経営3

前回から続く廃棄物処理業の出口戦略の第三弾です。今回は中期的な取組についてです。WITHコロナとして、低迷が長期化する景況のなかで、以下の6つのポイントにて中長期的に捉えて進めることがあります。

 

①採算性&効率性改善
②デジタル化の加速
③営業戦略の転換
④顧客数増
⑤採用と育成
⑥エンゲージメント 
短期的取組と重なることも多くありますが、緊急性よりも重要性が高いこと故に、時間も難易度も高くなります。方向性を直ぐに固め、計画的に進めていく必要があります。

 

①採算性&効率性改善
不況期になると、顧客は相対的安さよりも絶対的安さを求めるようになっていきます。それに伴う原価低減要請が今後あらゆるサプライチェーンに拡がっていきます。現在、既に期間限定協力などの要望が表面化してきております。
短期的な採算見直しと違うことは、数値の細分化を更に進め、見える化していくことです。これまでの粗利管理から、更に一歩踏み込んで欲しいと思います。
製造業では当たり前に行われているVAやVEの発想にて、バリューチェーン全体の視点から価値の最大化を考えていきましょう。その為に原価細分化を進めねばなりません。過去一年分のデータから、運搬や処理費を工程別に原価を明確化していってください。

 

そうすると原価ルールが生まれ、その中から不採算な業務や取引を抽出していくいことが出来るようになります。それをECRS(Eliminate(排除)、Combine(結合・分離)、Rearrange(入替・代替)、 Simplify(簡素化))の思想にて改善を進めてください。これは社内だけでなく、当然顧客にもお願いが発生することになるでしょう。しかし、顧客の値引き要請があって業務を見直すのではなく、また業績悪化になってからやるのではなく、今すぐ取組むことが数か月後に価値となります。その際に注意しなければならないのは、聖域無き見直しの視点です。これまでも不採算や非効率が認識していたものの、人による問題、過去の経緯等様々な要因に進まなかったものが多分にあるものです。しかし小さな出血が、今後の大きな怪我や後遺症ともなりうることも理解する必要があるでしょう。
そして見えるようになることで、重要業績評価指標ことKPI(Key Performance Indicator)が明確になる筈です。これを月次管理を継続することで、常に筋肉質な業務体制が出来るようになっていきます。

 

②デジタル化の加速
昨年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の文字が踊り続け、各社の温度感は違いながらも進み始めた時でした。しかし、コロナ禍によってデジタル化は加速したことも間違いありません。在宅勤務なども準備不足ながらの突入でしたが、思ったよりも早く順応していったように思います。
営業現場においても同様に、インサイドセールスが他業界では昨年から進んだものの、廃棄物業界では未だ浸透しておりませんでした。それが営業訪問難時代となり、新規開拓営業に逆風が吹いたこの数か月でしたが、少しづつリモート営業が進んできてはいました。顧客との打合せも先方要望にてリモート会議となり、変化は始まっているとも思います。また電子契約も導入が拡がっています。攻めの顧客獲得の入口(マーケティング)として、また守りの顧客管理や営業管理として(マネジメント)も精度向上や効率化など進化の取組が進んでもしています。

 

このように営業面だけでも変化はしていますが、まだまだ収集運搬や工場に関してはデジタル化も遅れているのも確かです。そして、このデジタル化も各社に温度差が拡がっています。それはトップのITリテラシーと連動しており、その温度がDXの進行差にもなっているように感じます。ここで間違ってはならないことに、DXはピンのツールで捉えないことです。ついついデジタルツールありきで考えがちとなり、先に商品やソフトを知り、自社で使える使えないなどを考えてしまい判断をしてしまうようにもなっています。「他社がやっているから」「人でもやれるから」「自社にはまだ早い」と判断軸がぶれてしまうことも多く見られます。

 

中長期的に取組むDX化は、先ずDX戦略創りからとなります。重要目標達成指標ことKGI(Key Goal Indicator)の設定がスタートとなります。例えば、人時生産性を5年後に2倍にするなどのゴールから、それを達成させる進め方を決めることだけなのです。頑張る、努力する、目指すでなどの不確実性の高い、古き根性論ではなく、確実に達成する手段としてデジタルを遣う方法になっています。人によっての差が出るようなことなく、また先にあげたECRSの通り、効率を求める手段としての活用となっていきます。その際、優先度と投資効果が当然に気になってくる筈です。
弊社では、そこでDXジャーニーマップの作成をお薦めしております。

 

社内のワークフローに沿い、そこで各単元毎のKGIとKPIを明確化していき、そこでの必要性を書き出していきます。そのDXの旅は、社内の誰が見ても解るようにしていき、全体最適の視点にて目的からズレることなく、各単元の改善を進めていくものです。当然ながら投資に対する効果が大きいものから取り組んでいき、そして目的を達成できるツールを探し、それぞれの繋ぎ目を一緒に考え進めていきます。これが出来上がるだけで、社内のDX化は加速可能です。トップは、勿論その先頭に立つ必要がありますが、全体戦略さえ決まれば、あとはその判断だけで済む筈です。何の為のDXか、それが固まれば必ず進化は進み、筋肉質な廃棄物処理業として勝ち残る礎となっていくでしょう。

 

次回③営業戦略の転換へ続きます。

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