経営コラム
廃棄物処理業は、サーキュラーエコノミーの潮流に如何に取り組むか⑩
2025年のサーキュラーエコノミーの取り組み方についての第10弾となります。
先ず、令和7年11月21日環循資発第2511215号にて、全面施行されました。 ようやくのスタートとなりましたが、リスクではなく機会として捉えていきたいものです。
前回に続いて、特定産業廃棄物業者の判断基準の③以降についてです。
③「省エネ型の設備への改良や運転の効率化を図ること」については、「使用する廃棄物処理施設について、設備の入替えに当たっては導入しようとする設備の再資源化の実施及び廃棄物の適正な処理のための機能がその導入前のものを下回ることがないよう留意しつつ、再資源化の実施の工程を効率化する設備の導入を図るもの」「技術的かつ経済的に可能な範囲で、同一の設備に再資源化の実施の工程を集約するよう努めるもの」「廃棄物処理施設における設備について、その管理の基準を設定し、及び定期的に点検を行うなど、当該設備のエネルギー消費効率を改善又は維持するための措置を講ずるもの」としています。先ず、「入替え」の意味が「軽微変更」を指していないという前提であるならば、スペックダウンは考え難く当然のことでしょう。また、「再資源化の実施の工程を効率化」することも当然なのですが、ここではIOTやAI等のDX活用のことを指していると思われます。「集約化」の言葉も同様です。またエネルギー効率を記載したことも、脱炭素化前提のことで、再資源化させても工程で大量にCO2を排出するようなことは避けさせたいとの思惑が想定できます。
④「目標を定め、その達成に向けて計画的な取組を進めること」には「廃棄物処分業者は、その処分を行う廃棄物の数量に占める再資源化を実施する量の割合に関する目標を設定するもの」「目標を設定するに当たっては、技術的かつ経済的に可能な範囲で、法第三条第二項第三号に掲げる目標を勘案して設定するよう努めるもの」「目標を達成するため、再資源化により得られる再生部品又は再生資源の供給量の安定化を図るための措置並びに同項の目標の達成状況に関する継続的な自己評価及び当該評価を踏まえた改善措置など計画的に取り組むための措置を講ずるもの」とされております。これも当然のことであり、処分を行う廃棄物の数量に占める再資源化を実施する量の割合に関する目標の設定について、先ず目標を立てることからスタートとしております。勿論、このあとに目指すことは目標が形式的なものにならないように、その達成と水準を上げていくことになっていきます。但し、まだそれには若干時間も要することが想定されます。現実的には監査までするようなことは難しく、そして何よりも「同じ機械で同じ廃棄物を処理しているわけではない」ことからも、掲げる目標や現状の適正さは判断が出来ないものとなります。しかし、先の通りスタートしなければ、何も始まりません。先ず、その一歩と捉えることが重要なのでしょう。
⑤「人材育成を目的に、従業員の研修や労働環境の改善するための措置を講ずること」について、「廃棄物処分業者は、適正な再資源化を実施する人材を育成するた
め、その従業員に対して、再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の重要性並びに法令遵守等に関する研修を実施するもの」「従業員の労働環境を改善するための措置を講ずるものとする」も当然のことですが、まだ一文として述べる必要があったからなのでしょうか。採用と育成の課題は、廃棄物処理業だけでなく、あらゆる産業で課題にもなっております。業界課題として、人の要素は大きいのですが、これは法で述べることよりも企業経営の要素であり、多くの廃棄物処理業者が取り組んでいることでもあると思います。但し、なかなかと上手くいかないこともあるのが現実です。だらこそ、既にその取組を進めている各社を抽出していきながら、ベンチマークモデルの共有等で具体的な展開が出来るようにすることも必要と感じます。
⑥「自ら再資源化の実施状況の公表すること」について、これは④の目標と関連することでもあり、繰り返しになってしまうのですが、先ずスタートとして捉えるべきでしょう。適正な水準などは無く、比較することは困難であることを前提としながら、先ず公開が始まるということです。しかし準備すべきことは、今後の想定でもあります。公開することによって、顧客からも見られることもあり比較もされることはあるのでしょう。だからこそ、自社の競争優位性を失わないようにすること、その為には再資源化率には拘っていく必要もあります。先の通り施行された内容を見ていると、初年度は緩和措置もあります。但し、ビジネスにおいては競争が常にあることからも、ひとつの経営指標として捉えていく必要もあるのでしょう。






























