経営コラム
廃棄物処理業は、サーキュラーエコノミーの潮流に如何に取り組むか②
前回に続き、2025年のサーキュラーエコノミーの取り組み方についてとなります。
先ず、本年おさえるべきことは、高度化法こと資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律では無いでしょうか。これまでも廃掃法から各種リサイクル法は制定されてきて、資源化は推進されてきました。現在、高度化法の議論が行われているのは「静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会」であり、2023年7月から開始され、第9回で1月に閣議決定された基本方針についての議論がされております。そのなかで、廃棄物分野のGHG排出量は3700万トンであり全体の3.2%としながらも資源循環まで踏まえれば削減可能とも見込まれました。そして、循環経済関連ビジネスを成長のエンジンとすること(高度再資源化技術、素材・鉱種や製品の流通実態を踏まえた資源循環)、資源循環による地域活性化、市場ニーズが拡がっていくと見込まれた背景があります。特に市場ニーズには、SSBJ規準によってSCOPE3開示に進むことからも、削減は不可欠になることも考えられておりました。
高度化法は2024年03月15日に閣議決定され、213回通常国会で成立、2025年01月16日に公布され、2026年2月1日より施行することが定めれています。
効率的な再資源化の実施、再資源化の生産性の向上等による温室効果ガスの排出の量の削減の効果が高い資源循環の促進を図るため、再資源化のための廃棄物の収集、運搬及び処分の事業並びに再資源化の実施に用いられる技術及び設備の高度化を促進するための措置等を講ずることにより、環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
「再資源化」
・廃棄物の全部又は一部を部品又は原材料その他製品の一部として利用することができる状態にすること
「再資源化事業等の高度化」
・再資源化の実施に伴う温室効果ガスの排出の量の削減の効果が増大すること
①物の製造、加工又は販売の事業を行う者の需要に応じた再資源化事業の実施
②廃棄物から有用なものを分離するための技術の向上その他の再資源化の生産性の向上のための措置
③工程を効率化するための設備の導入その他の当該工程から排出される温室効果ガスの量の削減のための措置
④そのほか、再資源化の実施に伴う温室効果ガスの排出の量の削減に資する措置
国の責務は以下となります
・地方公共団体、廃棄物処分業者並びに事業者であって自らその産業廃棄物及び事業者に対し、以下に規定する
これらの者の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。
①自治体:資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化を促進するよう必要な措置を講ずる努力義務
②廃棄物処分業者:高度化及び再資源化の実施に必要な措置を講ずるよう努める
再資源化の実施の状況の開示に努める
③事業者:ⅰ)廃棄物を分別して排出するとともに、その再資源化を実施するよう努める
ⅱ)製造・加工を行うに当たっては、再資源化の実施が困難とならないよう、その製品が廃棄物と
なった場合における有用なものの分離を容易にする等必要な措置を講ずるよう努める
ⅲ)製品に再生部品又は再生資源を利用するよう努めるとともに、需要に応じた資源循環を
促進するよう努めなければならない。
・地方公共団体、廃棄物処分業者、事業者、研究機関その他の関係者が相互に連携して物の製造、加工又は販売の
事業を行う者の需要に応じた再生部品又は再生資源を廃棄物処分業者が供給する資源循環を促進するため
必要な措置を講ずるよう努める
つまり、国の責務としては、自治体・廃棄物業者・事業者に対する資源循環を促すような管理監督であること、特に事業者においては分離しやすい設計や再生品の利用率を上げる努力を命じています。