経営コラム
廃棄物処理業の2024年問題⑧
本題の最後のテーマは、「顧客事情」となります。
顧客事情には、①時間指定、②置き場等の顧客事情、③顧客のミスが存在していると思います。
それらによって、イレギュラーも発生もしますし、効率も落ちることになり、また配車マンの頭を悩ますものにもなっていきます。
①の時間指定については、様々な顧客事情でもあり、可能な限りの対応も止む無しの面もあります。
他の入出荷業者との兼ね合いもあれば、現場状況の変化も常時発生することから、その対応が出来ることによって顧客から選ばれているケースもあります。
しかし一方で、「あそこは時間指定だから」と何年も理由も不明になりながら、放置されているケースがあります。先方に確認をすると、時間指定は必要ながら変更も可能なケースや、過去の経緯のなかで、こちらが要望した時間であったこともありました。
特に2024年問題のさなか、脱JIT(JUST IN TIME)も議論されているなかで、顧客側の物流管理も変わろうとしております。時間指定も企業努力にて負担無く対応可能な会社は良いのですが、あらゆるコスト増やドライバーの負担を無くそうとすれば、負担が無い会社は少ないのではないでしょうか。
また、②置き場等の顧客事情も然りです。置き場が小さい、スペースが取れないから回収頻度を上げて欲しい事情も当然理解できます。しかしもし2回を1回に、3回を2回に変えることによって、コストダウンが可能となれば、それを選ぶ顧客だっているのではないでしょうか。多くの企業が原価低減を望んでおり、更に廃棄物に掛ける費用となれば尚更にもなっています。
自動車産業を主とした原価低減の考えは、値下げ要求ではなく原価低減出来る方法を、VAやVEはとして一緒に考えるものです。根拠の無い値下げ要望は余裕のある時代ならばともかく、むしろ不採算を見極めようとしている会社にとっては、到底飲めるものではなくなってしまいます。
最も問題なものは、顧客のミスによって配車効率が落ちることです。手配漏れもあれば、依頼したものと実物が違うこと、また現物が無いことまであります。
人だからミスがある、間違いがある、と受け入れることも大事かもしれません。しかし軽微なミスもあれば、重いミスも存在しています。
例えば、顧客が製造業ならば不良品が流通すると重大ミスと捉えられますが、廃棄物処理業者への依頼ミスは軽微なミスとして流されている場合も多くあるのでしょう。先方のミスによる補償を払って欲しいのではなく、ビジネスの相手として廃棄物処理業をしっかりと見て欲しいと思います。勿論、協力会社として、パートナーとして捉えて頂ける顧客もたくさんいます。
一緒になってヒューマンエラーのゼロ化にも取り組んでくれる顧客だっています。これが本当のサプライチェーンでの関係ではないでしょうか。
これらの顧客事情について、やはり対話ありきだということが鮮明になってきます。サプライチェーンを構築するパートナーとして捉える顧客が増えれば、廃棄物処理業の2024年問題も片付いていくのではないでしょうか。
自社努力は重要ですが、一方で素晴らしい顧客とお付き合いできることを目指して欲しいと思います。