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経営コラム

2023.12.18 配信

廃棄物処理業の2024年問題②

前回からの続きとなります。

 
 ところで顕在化している働き方改革法案での残業規制において、
収集運搬ドライバーの残業問題では、①早出 ②稼働日 ③ドライバーの技量 ④二次先への運搬 ⑤配車マンのスキル ⑥顧客事情等
が挙げられます。
 
全てに改善を進める必要があるのですが、最も大きな問題は適正価格についてではないでしょうか。
所謂積み上げ式算定ではなく、先に受注価格ありきであり、それが処理費と混みの価格であることも多いと思います。
会社として月次や年次で締めて、最後に儲かっていた時代は気にならなかったことですが、先の通りに利益率も減少している現在では厳格化を必要とされています。
私自身がコンサルティング現場で原価分析をして、初めて明らかになることが殆どでもありました。まだ1社毎の細かなものを見極められていないというのが殆どでした。
 
ただ、積み上げが全て正しいわけではございません。
必ず競合がいるわけですので、他社に勝てる原価構成を目指す必要が当然あります。
しかし現在の原価による収益性の見極めが先ず最低限必要です。
残業を減らすならば、先ず儲かっていない業務を見極めることは不可欠です。
その業務が赤字であるならば、それを黒字化できないならば、顧客とも価格交渉が必要となっていきます。
「顧客を切る」と言う乱暴な言葉を使ってはならず、やはり顧客との価格交渉です。
顧客がパートナーとして自社を見てくれていれば、必ずその相談にも乗ってくれることでしょう。
 
しかし、あくまで価格だけでしか見ていない、「いち業者」視点であった場合は、「ならば、他社を探す」ともなってしまうかもしれません。
誠に残念な結果ですが、止むを得ないことでもあるでしょう。
過去からの経緯で、間違いを修正できなかった結果ですので止むを得ないでしょう。顧客とは契約で成り立っており、簡単にこちらから商売を終わらせることなどは当然できません。
自社事情での取引停止は、余程のことが無ければ出来ないもので、それが企業姿勢でもあり責任でもあります。顧客との価格交渉が上手くいかない場合でも、その責務を他に担う他社がいなければ、対応を続けるしかありません。しかし赤字を、どこまで許容すべきかは決めておかなければ、会社自体の永続性が無くなってしまいます。
期限を区切り、顧客とも話を進め、赤字を最小に留められなければ継続自体ができなくなっていきます。何よりも、従業員の方が、汗水かいて顧客の為にと動いていても、それが赤字の仕事と知ったならばやり切れない思いにもなってしまいます。
 
 誤解頂きたくないことは、赤字の商売は商売ではないということです。商売は利潤を追いかけていくものであり、利益を出さないことは悪であるということです。
 
 収集運搬の2024年問題について、最初のステップではシンプルながら、顧客原価の見直しでもあります。

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