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経営コラム

2023.11.24 配信

廃棄物処理業の2024年問題①

建設業、物流業では2024年問題がクローズアップされて久しいですが、廃棄物処理業でも収集運搬業も同様の課題を抱えていることはご承知の通りです。
ただ、前述の2業種とは背景が異なっていることも事実です。

 
建設産業では残業制限は勿論課題ではあるものの、高齢化による技術者不足が大きな課題となっており、残業を制限することや採用難だけではありません。CCUS(建設キャリアアップシステム)の導入もあり、人工の頭数を揃えることが大事でもなく、またインボイス制度の導入にて一人親方の減少もありますが、やはり熟練工の課題が大きくなっております。国交省もi-Constructionも進め、その熟練工不足を補おうとしていますが、エリア差はあるものの人手不足は顕著であり、人工代も高騰していっております。更に中小企業での過大は施工管理者不足も抱えており、中途採用市場は高騰しており、加えて職長不足からも現場を回せられない課題も抱えています。
 
物流業は収集運搬業と似ていながらも一番の違いは、稼働率では無いでしょうか。車輛と人員数のバランスとして、物流業では車両数が人員数を上回りますが、廃棄物処理業ではその逆となります。更に24時間稼働を目指すのに対して、廃棄物処理業では半分以下となってしまいます。そして何よりも廃掃法によって、物流業のような3PLや倉庫活用やモーダルシフトの検討もできません。
 
但しドライバー採用の視点では同様の採用難となっている為に、人材採用の面では競合となっていることも事実です。
廃棄物処理業の2024年問題は建設・物流業と分けて考えていく必要があります。採用が難しいことで共通のように思われますが、それは顕在的な課題であり潜在的な課題はそれぞれ異なっております。
廃棄物処理業では、目指すべき形が収拾運搬の最適化になると思っております。これはルートの最適化ではなく、業種としての最適化を指していきます。
 
近年、都市部では一般廃棄物や医療系廃棄物でも、この最適化として各社のバーターも進んできました。つまり運搬効率が悪い、運賃が合わない等は同業他社や競合に引き渡すことも続いてきました。拡大戦略の際は、競合に負けずに新規顧客を獲得し続けることを進めてきましたが、それは点を面にする為であり、面にならなかった点が運搬効率での重しになっていきました。その為だけで走ること、燃料代も人件費も上がる中でな当然儲かる筈などなく、荷を引き取るだけで運搬費としては赤字が確定していくものでした。中間処理場として運搬は荷を確保する為のサービスと割り切り、荷が集まれば良いとした過去もありましたが、顧客別や物件別に紐解いていくと、処理費が安く設定されているものでは赤字になっていることもあります。全社収益に余裕がある際は気にならなかったことも、先の通り原価が上がっているなかでは、とても目を瞑るようなことも出来なくなっています。
 
廃棄物処理業の収集運搬の最適化とは、自らのビジネスモデルを否定することから始まります。
これは既に先を行く、物流業でも同様のことが始まっております。カーボンニュートラル化が進む中では、走れば走るだけCO2を排出していきます。製造業を中心にSCOPE3削減についても具体的に動き出した企業では、既に物流の最適化が始まっております。これは所謂看板方式の脱JIT(JUST IN TIME)も念頭にしなければならなくなっており、更にCFP(Carbon Footprint of Products)を求めていく企業では、細部にまで入っていくことも想定されます。
SCOPE3には上流下流ともに廃棄物も含まれており、他人事では無くなっています。廃棄物処理業の2024年問題は人材採用や残業制限だけに囚われず、ビジネスモデルの変革から取り組む必要が出ているのです。
 
次回へ続く

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