経営コラム
廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)⑦
廃棄物処理業の事業可能性調査の最終回となります。最終回として、廃棄物処理業が事業可能性調査を必要とするかについて、お伝え致します。
私が廃棄物処理業のコンサルティングに携わったのは2001年でした。中途で入社した船井総合研究所にて環境ビジネスのコンサルティングを手掛けるなかで、縁があって拡がっていったものです。
当時は廃棄物処理業が各種リサイクルビジネスに取り組み始めていた頃で、処理発想からリサイクル発想への転換期であったとも言えます。各種リサイクル法に合わせて、新たなリサイクル技術も生まれていたのですが、事業性にも多く課題が散見されることが多かったものです。特に市場性では、リサイクル化することでのコストアップすることも多く、更にリサイクル製品の出口が目論見通りに行かないことも多かったものです。経済合理性として、「安くて良い新品」と「高くて質が落ちるリサイクル品」では比べるまでも無かったのでしょう。今後の環境保全についての必要性は皆が理解できていても、経済性が無いものに市場有効性は見え難いのは当然のことであったと思います。これが廃棄物ビジネスの難しさであると思います。
更に課題は設置許可についてです。多くのビジネスでは立地がマーケティングにおいての差別化要素のひとつになっています。これはWEB型になっても変わってはいません。しかし廃棄物をマーケティング的に展開をしようとしても、勝てる場所で必ずビジネスが出来るとは言えないことでしょう。設置許可が下りない、同意を得られない等の不確実性が出てしまうからです。
20年以上も前から抱えていた課題は解決できたかと言えば、殆ど変化をしていないとも言えるでしょう。そして技術面でも革新的な変化があったとも感じ難いことも事実です。様々な業界や製品において、この20年だけでも相当な進化があったものですが、静脈側はそれに比例をしていません。誠に残念なことです。
「環境に良いことは必要」「将来もニーズが拡がる」と思いや希望ではなく、相当に慎重な事業性の見極めが必要となります。金融機関やファンドの方達と話をしていると、この市場性が読み難いとのことを言われます。事業者となる廃棄物処理業側が立てる計画について、エビデンスが無いとのことで社内での理解を得られない、判断がつかないとのことです。勿論、どのようなビジネスでも100%計画が読めるものはありません。しかし、その計画の信憑性が10%でも20%でも実現性が見えるものがあり、その積み重ねで事業検討はされています。
廃棄物・リサイクルは見え難いビジネスだからこそ、その実現性は積み上げる必要があるわけです。
縮小していく廃棄物市場でもあり、そして高度化法等のゲームチェンジも控えており、益々厳しくビジネスの実現性を見ていく必要があるでしょう。それを成し遂げた会社が勝ち筋にもなっていくと思われます。