経営コラム
廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)⑤
事業可能性調査の第5弾となります。前回の第4弾では、廃棄物処理業の商圏についての考え方でした。今回より内部環境についてとなります。
大きく分ければ、①獲得の有効性、②現業の実効性となります。
獲得の有効性としては、商圏の話とも被るのですが、必ず他の会社がその荷を受けている前提となることです。通常は、売り込むと価格が下がるものとなります。新たな進出によっても不採算な受注によっての売上計画達成が出来ても、利益の計画は未達となります。計画では、当然採算を取る単価設定での獲得を目指していることからも、容易ではないことが想定できます。それ故に獲得可能性には商圏内の価格調査も必要となっていきます。既に競合が多くいれば、当然価格は安価になっている可能性も高く、一方で品目によっては競合無く独占の場合ならば高値維持の可能性もあります。先ず価格状況にて可能性を見ることは当然ながら、営業力も不確実性の高い要素ながら獲得可能性の大きな要素です。定量的に図ることが出来ず抽象的になりやすい営業力ですが、先ず人数がいなければ新たな獲得の可能性も当然低くなります。既存対応に追われるだけで日常を忙殺されていると、新たな顧客獲得に割く時間もありません。また属人的な営業マンの営業力があっても、それが新規顧客獲得を確実と言えるものではありません。だからこそ営業力を検証するには、顧客を獲得する仕組みがあるか否かを見ていかざるを得ません。Marketing Automationも然りで、属人的要素を可能な限り排除して、組織営業力での獲得要素が機能しているかの判断となります。ターゲットリストが増える仕組みがあるか?ターゲットリストは有効なセグメント分けされているか?計画通りの配信とアプローチができているか?有効なリード獲得の施策は随時寝られているか?等の要素です。そして自社工場への誘導にてクロージングが出来ているか?となります。
続いて、現業の有効性です。許可能力が最大の売上であることは間違いありません。しかし、その能力の最大限を活かせるかと言えば、廃棄物の内容だけでなく、オペレーターのハンドリングも重要な要素にもなっていきます。つい忘れがちになりますが、そもそも工場なので製造業同様に工夫次第で効果も変化していきます。最大の効果を求め、無理無駄ムラの改善を続けていく必要があります。焼却施設は比較的解りやすいのですが、粗選別になってくると、それを定量的に見ていくことも難しくなっていきます。それを見極めることも現業の有効性でもあります。もし330日の24H稼働の焼却施設が100t/日で平均単価40円とすれば、330X100,000X40=13.2億円が最大の売上となります。しかし、これが定修が増えて300日になること、平均単価が思うように進まず35円になったり、また燃焼効率が悪かったり、モノが集まらないと数値に当然現れていきます。特に、現在のような人が集まらない時代になると、24H稼働の為に3~4班体制を組みたくても、思うようにいかないことやコロナ禍のような急な連続の休みも発生すると、稼働率は当然に下がっていきます。まだまだ省人化出来ている工場も少なく、人の手を必要とすることも廃棄物処理業の現状です。計画通りに進むかの現業の有効性についても、可能な限り見極めていく必要があります。