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経営コラム

2024.11.26 配信

廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)④

事業可能性調査の第4弾となります。前回の第三弾では、法規制やカーボンニュートラルの潮流による影響についての視点をお伝えしてきました。
今回もまだ外部環境ではありますが、競合環境についてとなります

 外部環境の調査にてマクロでの市場状況は見えても、該当市場規模についての可能性であり、対象企業が競争環境にて計画通りに勝ち取ることの実現性とは異なっております。それには内部環境としての可能性もありますが、外部環境としては競合環境もあります。
 競合環境には、先ずその商圏を満たす許可能力が前提となります。需要量に対して許可能力合計が多いか少ないか、そしてその商圏を広げていけば、そのエリアまで担うことで実現性が高まる可能性を見極めるといったものです。
 一方で先ず商圏が曖昧であることも多いと思います。我々は「力が及ぶ範囲」を商圏の定義としております。しかし、その力が及ぶ範囲には、回収に行ける範囲、営業が動ける範囲、顧客がいる範囲もあれば、何よりも競合と戦える範囲でもあります。例えば近隣に顧客がおらず、50Kḿ離れたエリアには顧客が多くいるのに競合が遠方までいなければ商圏とも言えます。つまりビジネスにおいての影響力が商圏と言っても良く、力が及ぶ範囲としながら、力を及ばせなければならないエリアでもあります。市場があっても競合から奪えるか否かは競合環境の話でもあり、商圏設定とは切り離して考えていきます。先ずはビジネスとして成り立つ市場として商圏を見ていきます。 
 競合との競争環境での優位性を見極めることは難しいのですが、それでは調査になりません。細かい品目での稼働は不明ながら、ある程度の状況は知ることもできますし、価格についても全てではないながら表面的な価格までは見えるものです。勿論、競合から安いならば必ず獲得できるようなものではありません。一方で顧客の近隣に競合がいても、そこには入っていないケースもあります。選ぶのは顧客次第ではあるものの、市場があれば可能性はゼロではありませんので、定性要素での優位性判断をしていくしかないと思っています。判断が難しいのは、処理施設別の競合判断です。破砕と破砕の比較は出来ても、一方で二次処理も踏まえて考えていくと、自社検討が焼却の場合には様々な競合ケースも出てきます。RPFも競合になり、破砕であっても二次処理を含めれば競合、水処理施設であっても競合となります。焼却検討の際には焼却施設だけが競合でないことは、その特性としては止むを得ないのですが、先ずは最低限の同じ焼却同士での比較となっていきます。
 廃棄物処理業の特性として、良い商圏エリアがあっても簡単に進出できるものではなく、商圏には運があるようにも思います。まさに、「たまたま」なことが重なって現在の商圏であることが多いのですが、事業可能性調査の場合は、許認可取得可能の前提のなかで商圏も競合も見極めていく必要があります。参入後の成長についての困難性は競合環境から見極め、少しでも確率を上げていくことが目的といっても良いでしょう。

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