経営コラム
廃棄物処理業 2023年の時流⑤ 2023年に実践頂きたいこと
2023年の時流についての最終回です。今回は2023年に実践頂きたいことです。
1.サーキュラーエコノミー市場で捉える
廃棄物減少時代において、「循環性の高いビジネスモデルへの転換」「市場・社会からの適正な評価」「レジリエントな循環システムの早期構築」を読み解き、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)市場での自社を位置づける。必要とされるリサイクル事業を自社の経営資源が活用可能か、運搬業務で如何に携われるかを決めること。サーキュラーエコノミーの追求が脱炭素化でもある
2.短期的なコスト見直しと改善
(1)取り組みの背景
・顧客からの値下げ要請、また顧客からの選別が始まる準備をしなければならない
・人件費とエネルギーコスト、原材料関連等各種販管費増は継続される為に収益性は圧迫していく
・攻める機会は新たに生まれる為に、その為の戦える準備が必要
(2)取り組みの方向性
・不採算顧客の洗い出しと見極めを早期に完了
・運搬関係は燃料価格も下がらないことから、負担も大きくなることが想定され、運搬可能エリアと運搬効率改善交渉を顧客と早期にスタート
・二次処理先の新たな選定
・運搬業務の分離・バーターも検討
・少額のコストダウンは一旦先送りして、インパクトの高いものに集中をすること
3.中期的な生産性改善
(1)取り組みの背景
・業態転換について、業界的にも多くは変わっておらず小幅変更のみとなっている。それもハードに頼ることと、属人性に頼ることによって変化が発生もしていない
・人時生産性を追求していくと、手法の変更では難しくなる為に、新業態の足掛かりを2023年は同時に進めていかねばならない
(2)取り組みの方向性
・人時生産性を全体で算出して追いかけていることは大前提であり、部門別までは最低限管理できるようにしておく
・業態は新規事業発想で捉え、時流適応の市場を捉えること。例えばGXや脱炭素市場と確実に伸びる市場があり、その市場内を冷静にSWOTで見極め、参入判断ができる一年として欲しい。業態は廃棄物や資源業から、例えば原料業に変換するレベルで検討を進めたい
4.営業のバージョンアップ
(1)取り組みの背景
・価格要請が増えること、需要量が増える時は、新たなサプライヤーを顧客が探す時でもある。自社にとっても脅威ではあるが、攻めの視点では機会でもある
・顧客のニーズもサプライヤー探しも変化をしており、訪問されたくない、必要な情報を的確に得たいとなっている
・過去からの新規開拓手法から脱するタイミングでもある
(2)取り組みの方向性
・先ずはターゲット選定とキーマンへの接触を試みる
・一点突破となる提案内容を設定
・ABMにて継続的な情報発信による接触と反応確認
・効果的なリアル接触(現地確認、現品確認、来社、自社工場見学、クロージング)
・訪問営業不要な仕組みを営業部門で実践する
5.DXのバージョンアップ
(1)取り組みの背景
・コロナ禍で、遅れていた企業のデジタル化は加速していき、この1年間だけでもコストダウンとアプリ間の連携も進歩している
・過去にシステム見積をすると高額であったものも、アプリで気軽に手早く安く導入できるようになっている
・IoT関連も進化しており、安く高性能化しており、過去に出来なかったことも可能になったことも増えている
(2)取り組みの方向性
・視点は生産性を上げることにて、「システムとしてやりたいこと」を明確にする
・アプリとして探してみて、基幹システムとの連携をカスタマイズできる会社(人)を探す
・IoT関連も進化しており、自社の「やりたいこと」からエンジニア会社に打診
・とにかく開発にコストと時間をかけず、直ぐに始めることができて、直ぐに変更できるものに軸を置く
・100点を構築しようとせず、70点をカバーできる範囲で考える(費用対効果)
6.採用と育成
(1)取り組みの背景
・人手不足感と採用難に再び戻り、ドライバー不足は慢性化していく
・若年層採用をしたいが、中型免許問題は続き、また働き方改革対応は迫っている為に、多少の余裕を持たせたドライバー人員体制でなければ対応できなくなる
・工場で、且つ残業の多い3K職場には人が集まらなくなっていく
・採用枠が増えることで異業種転職も増えていく
・ベテラン達の定年退職も続き、若手や勤続年数の短い人の育成が急務になる
・新卒系が会社に求めることも変化しており、対応は迫られる
(2)取り組みの方向性
・積極的な採用活動の再開にて、早期に欲しい層を獲得
・媒体も変化しており、費用対効果は見極めること(成果が出ないものは直ぐ止める)
・新卒採用は毎年ながら、有効な手法が変化しており時流適応は絶対である
・自社が欲しい技能職層(有資格者等)であっても新卒市場からの育成が、最も早く有効な手段にもなっていく・
・自社の育成システムを構築できた会社が中期的成長を可能にさせる
7.事業戦略の再構築
(1)取り組みの背景
・コロナ禍で人々の動きも変わっており、また脱炭素市場でルールとプレイヤーはゲームチェンジが見えつつある
・時流適応経営として、過去に囚われることなく事業戦略を再構築しなければならない
(2)取り組みの方向性
・自社本業のこれから10年について見直してみる。10年間で起こりうる機会や脅威に対して戦い方を改めて定める
・新規市場を伸びるブルーオーシャン市場で定める
・脱炭素市場は最低限でも取組を始める