経営コラム
廃棄物処理業 2023年の時流③
Ⅰ.2023年の考え方
1.廃棄物市場
(1)総量
・近年減少は進んだものの将来予測推定より下げ止まっている。海外への廃プラ還流、また建設関連の活況が続いていることもあり、市場感として減少感は感じない。
製造業も円安と資源高、部材不足の影響が続いており、各種エンドユーザーの生産計画にも支障が出ているが、2022年単年での影響があっても、5年程度のスパンでは大幅減少には繋がらないと見ている
(2)品目及びリサイクル
①廃プラ
脱プラの方向は続き、商品開発も含め、国としても改善を進めていく意向は強い。しかし廃棄物の特性からも、製造時発生だけでなく廃棄段階まで発生量の減少には時差があり、10~20年程度の緩やかな減少が想定される。
②木くず
着工数は維持が予想されるが、中期的には減少で見ておく必要がある。一方でバイオマス施設での木くずニーズは高く、円安の影響からも期待が大きいものの経済性にて市場流通には時間が掛かってしまう
③汚泥
工場系は有機無機ともに現状維持は見込まれるが、顧客によっての撤退や移転も中期的に存在することを前提に考える必要はある。建設系に関しても維持は見込まれるが、中期的には減少も想定する必要あろ
④廃油・廃酸・廃アルカリ
工場系は汚泥同様に現状維持ながら、移転や企業・事業再編のリスクを常に前提にする必要がある
⑤ガラ
需給バランスが常に課題にはなっているが、中期的な発生減を想定する必要がある
(2)品目及びリサイクル
⑥感染性
コロナ禍で増量が続いたが、急激な減少にはならないものの減少傾向となるが、中期的には医療方針からも安定的な動きが想定される
⑦その他リサイクル
食品、繊維、小型家電、包装、バッテリー、太陽光パネル等への技術革新と促進が拡がっていく
(3)施設
①焼却
需要に対する焼却施設不足が2022年現在も続いており、同時に価格高騰も止まっていない。今後の建設見込に対しても、その建設迄の時間軸と施設への障壁からも 急激な改善は見込まれていない
②水処理
需要も手堅く推移しており、収益性も含め中期的にも安定性が見込まれる
③RPF
需給バランスと将来市場懸念は常にあるが、近年での急激な変化は見込まれず、一定の市場は維持
④破砕
単なる破砕だけでの収益性は、これまで同様に上昇が見込まれ難い
(4)最終処分場
管理型最終処分場不足は続いているが、設置量とのバランスによって残余年数に大きな変動は生まれていない。しかし変わらず過多ではなく、需給バランスとしても維持が続くことが見込まれる。それ故に需要側としては価格競争激化を想定して、如何に管理型最終処分場への搬入抑制に努められるかは必要となってくる