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経営コラム

2021.09.21 配信

収集運搬のDX化⑤「ドライバー育成のデジタル活用」

前回から続く、収集運搬のDX化についてです。今回は「ドライバー育成のデジタル活用」となります。

 

先ず誤解を生んではいけませんので最初にお伝えしますが、デジタル活用でドライバーが育成されるというわけではありません。最優先は安全であることは変わらず、安全教育が育成の第一でもあります。ドラレコ導入もデジタルと言えばデジタルですが、導入による効果は間違いありませんので、未だ導入していない会社は是非ともと思います。また技能というものも、勿論経験が主にはなりますが、その方本人が持つ反射神経や空間認識、更に所謂運動神経と呼ばれるものや、体力等各種身体能力にも左右されていきます。そして性格も影響されていくものです。

 

ドライバー育成においてのデジタル活用としては、一人前達成させることをデジタルで管理していくことに取り組んで貰えればと思っています。以前の回で配車効率化の話をしましたが、配車マンの悩みのひとつに配置の問題があります。全ての人が、どこでも回収に行っても問題も無く、更に効率も変わらなければ、どんなに楽でしょうか。「ここは、あの人しかいけない」「あの人では任せられない」「あの車輛を遣える人が少ない」等によって、任せられる人には負荷が掛かり、危ない人には楽な仕事しか任せられない等の不公平も生まれていきます。全ての人とは言いませんが、そのどのような仕事も可能となる一人前のドライバーが全体の何人となるかが配車効率向上も可能とさせていくことでしょう。
 

つまり、ドライバーの一人前化が収集運搬の収益化では大きな鍵を握っていると言っても構わないと思います。前回の顧客情報管理も一人前を早期化させるひとつのツールであり、覚えられない、解らないではなく、解るようにする仕組でもありました。ドライバーの早期一人前化は廃棄物収集運搬業では避けて通れない経営の重要課題であり、それを可能にすることにはチャレンジしていかねばなりません。

 

その為には、先ず自社のドライバーの一人前基準を明確にすることとなります。しかし、この「一人前」が難しいものです。それぞれの会社で基準は違うと思いますが、理想的なドライバーを捉える会社もあれば、今は出来ていないものの将来目指したいカタチを考える会社、そして現在いる自社ドライバーの優れている人を基準にする場合もあります。ここでは、経営戦略に基づき、自社が目指すドライバーの姿と現実のギャップを冷静に見つけなければなりません。あまりにもかけ離れていれば、2段階3段階でのカタチを明確にしていくべきでしょう。そして、その最初の到達点に向けての各項目についての計測と可視化をデジタル活用していって欲しいと思います。

 

例えば、業務知識と言っても幅広いと思います。廃掃法の知識だけでも、マニフェスト等ドライバーとして最低限求める同法の知識もあれば、品目も自社搬入物から禁忌品までと拡がっていくと思います。それが、どこまで理解しているかテスト等も実施していき、各人の到達点を一目瞭然にしていくべきでしょう。そこで活用していくのが、BI(Business Intelligence)ツールにもなっていきます。既に経営指標をBI管理にて進めている企業も多いと思いますが、HR(Human Resources)テックとしても有効です。これも一種の評価制度の一種かもしれませんが、大きな違いは完全オープン化で全員が見えるようになることです。ドライバー同士が誰が優れている、自分は何が不足している等が見えることで、またその上長も本人の伸ばさなければならない要素も見えていきます。
 

そして評価と違い、頻度はリアルタイムでチャレンジさせたい、チャレンジしたい人にはどんどん取組むことができます。所謂仕組化ですが、先の通り育成の骨格が基礎にあり、それを導入だけでなく目的を達成させる為でのツールとなっていきます。つまり、一人前のドライバーを早期に多数作ることが目的ならば、如何に各人が取り組めるかが重要になっていきます。制度があることが重要なのではなく、制度が如何に効果を発揮するかの手段も忘れてはなりません。それ故に、デジタルツールを使わざるとも早期育成が制度だけで効果が発揮できる会社には不要でしょうが、しかし工数を考えてもデジタルを上手く活用することは有効でもあると思います。 

 

育成には目的が重要で、それを実現させる制度と活用の為のツールをデジタルでも実現させていって頂ければと思います。

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