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経営コラム

2025.01.29 配信

廃棄物処理業の事業可能性調査(Feasibility Study)⑥

事業可能性調査の第6弾となります。前回の第5弾では、内部環境での①獲得の有効性でした。今回は、②現業の実効性となります。

 通常の装置産業であるならば、稼働率がセンターピンであることは間違いありません。経営資源として重要な要素である機械から生み出される、所謂「掛け算」によって実績の答が出てきます。それ故、製造業では当たり前となる「カイゼン」「QC」等によって、何年も何十年も取り組んできた現在があるとも言えるでしょう。
 
 しかし廃棄物処理業については異なります。製造業のような追求が出来ている会社は少なく、チョコ停やドカ停レベルが課題ではなく、稼働率100%前提に捉えられていないことも多いかもしれません。これは、「つくりあげていく」と「処理していく」の大きな違いでもあるでしょう。製造業では当たり前となる品質の再現性については、残念ながら追い切れていないとも言えます。

 廃棄物処理業の前提条件は、プロセスにおいてINの品質が全く同じものは限られており、またそうなることでOUTも異なっているということです。つまり前提条件から再現性が難しくなっており、常に同様の稼働を約束されるものではありません。
この改善には、当然INの段階から品質を見極めて適正な処理ステップを進める必要があるのですが、廃棄物データシート(WDS)が全てに存在していることもなく、顧客とコストの課題からも全てを分析にかけることも出来ないこともあります。結果としてオペレーターの経験や勘に頼ることになり、その属人的能力でカバーされているとも言えるでしょう。稼働が悪い場合に、そのオペレーターだけが悪いわけではありません。廃棄物の問題も多分にあり、処理工数が掛かるもの多くあります。勿論、それに対して、その処理コストに見合った処理費を貰っていれば全く問題ないのですが、それが出来ていないことも多いものです。営業が交渉できていない、顧客の予算が無い、昔からの取引内容を変えられない等です。
 運搬の能力も同様です。2024年問題の通り、全国各地にてドライバー不足が現在も大きな課題ともなっています。持ち込み比率が高い会社は、まだ良いのですが、運搬比率も高い会社となれば、処理能力があっても、処理ニーズがあっても売上を上げることは出来なくなってしまいます。
 処理能力が最大の売上となる廃棄物処理業にとって、稼働率100%とは全てが揃わなければなりたたず、つまりそれだけ難しいということでもあります。
そして稼働率だけでなく収益性も同様であり、最終処分費が増えるようなことになれば想定を下回ります。外注費も同様で、更に人件費や電力、燃料費も含めた原価は上がっており、収益性を変動させております。
 現業の実行性とは、これらの検証となります。どのような商売や事業においても計画通りにいくことは難しいものです。しかし、廃棄物処理業としての計画検証においては、この現業の実効性は大きな要因であることは確かです。装置産業ではあるものの、やはり人の要素が大きく、だからこそ人材に焦点をあてる必要も多分にあると思っております。

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