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収集運搬のDX⑦最終回「DXで勝ち残る収集運搬」
これまで6回と続いてきた収集運搬のDXについて、最終回となります。今回は「DXで勝ち残る収集運搬」となります。
遡ること十五年以上前の時に、私は「収集運搬のみでは生き残れる会社は数少ない」とまで、断言していました。今更ながら、私が間違っていた面は多いにあったと思います。申し訳ございませんでした。言葉に付け足さなくてはならなかったことは、「儲かる収集運搬にならなければならない」ということでした。
当時から産廃の収集運搬は儲からなくなっていました。中間処理が主の会社にとっては、収集は中間処理に入れる為の手段であり、顧客サービスのひとつとして捉えることも多かったものです。結果として、見積内でも本当に分割した積上げではなく、合算して幾ら残るかが設定金額にもなっていたものです。それ故に独立採算で管理をし始めると、収集運搬が別の会社ならば赤字会社になる程でした。一般廃棄物のケースは少し違いますが、グロスで儲かっているか否かでしか見れておらず、しかし月極料金の恩恵にて利益が出ているといなることが続いていました。勿論、その一般廃棄物の収集もルート管理が進み、原価管理も可視化とともに不採算ルートの改善も出来るようになっています。
しかし過去は、売上が上がれば利益が上がる時代もあり、結果としての売上至上主義にもなることも散見されました。とにかく売上が増えればと遠方でも収集に行くことや、赤字が見えていても受注して稼働を優先することでさえもあったものです。これが収集運搬の問題でもあったのですが、更に言えば進んでいた物流業との比較にもあります。当時から物流業もギリギリの採算で戦っており、倉庫活用や3PL等の業態転換も進み、管理手法も進化をしたものです。しかし、相次ぐ顧客獲得競争が響き、また顧客からの原価低減要望からも採算改善は常に経営課題にもなり続けています。近年は同業界も値上げが進み、多少は改善されているものの、人手不足とともに撤退や縮小も増えていることも確かです。廃棄物の収集運搬も同様に、経営課題としての改善は不可欠なのです。
儲かる収集運搬」を目指す為のDX活用とは、これまでの各回を纏めていくと可視化の手段が鍵になってます。当たり前のことではあるのですが、やり切っていないことではないでしょうか。基幹システム導入の際に可能なことを実装されていても、導入当初の移行時からデータ入力がされていなかったり、1~2ヶ月程度の数値把握をしても、その工数からも多忙になると続かなかったり、何よりも経営者の興味が薄れている時が問題でもありました。これではDXを導入しても同様のことが想定されてしまいます。先のように継続できない理由が、手間や工数であるものを継続させる為にDXにて効率化をしていても、経営者の意識が薄れていけばそこで終わってしまいます。「やり切る」というよりも、本来の目的から目をそらさず、ゴールの為に改善を進めることが可視化の目的でもあります。
そうなってくると、以前の回でもお伝えしました通り、トップ自らがデジタルから逃げず、むしろ敏感にアンテナを伸ばし続けることが必要なのでしょう。私のご支援先の経営者で、自らも一緒にBIやRPAを学び、最低限の使いこなしまでは出来るように取り組んでいる方もいます。勿論、その道のエキスパートになる必要もなく、ましてや社内No1の使い手になる必要はありません。しかし、この経営者の方は自らが使えることによって、更に改善を考えられるようになり、そしてまた新たに誕生するツールを見極めるようになりたいとも仰っています。
経営戦略にDXがひとつの軸となり、マネジメント戦略やマーケティング戦略と同様に考えなければならない時代でもあります。収集運搬の改善も中間処理場改善同様に廃棄物処理業にとっては、当然重要なテーマでもあります。収集運搬の改善に終わりはなく、そしてそれは新たなツールを探し続けるべきであり、現在はDXが有効になっているだけです。儲かる収集運搬業、諦めず追い掛けるからこそ、上手くDX活用にて改善に取組んで頂ければと思います。